練習の帰り道、佐紀は、


  「友理、もっと、素早く動かなくちゃ。

   あれじゃ、すぐ、5ファウルに
   なっちゃうよ」


  「そんなん、ウチも、わかっとう。
   せやけど、遅いんやから、
   しゃあないやん」


すると歩美が、すかさず、


  「おっと。遂に、開き直ったなぁ」


梨沙も、


  「前に、三田コーチが言ってたじゃん。
   遅いのなら、早く気がついて、
   動けばいいんだって」


  「その通りですわ」


みんなは友理を、やり玉に挙げ、
冗談交じりに、友理の遅さを、言い始めた。

しかし友理は、動じることなく、


  「うん。それは、わかってるんやけど」


  「友理はちょっと、自分に甘い所が、
   あるよね」


  「ええやん。他人にも、甘いんやから」


  「もっと、周りを見なくちゃ。
   そうすれば、いろんなことが、
   わかるんだから」


  「うん、努力してみるわ」


ため息をつく佐紀。


  「やるとは、言わないんだ」


  「えへっ」