それ以来、キャプテンの明美に
あからさまに文句を言うことは無くなった。
しかし、不満の種は、
消え去った訳ではなかった。
勢い、その不満のはけ口は、
1年生に向かう事となった。
ただ、華子には、一目置いているらしく、
華子に向かう事はなかった。
しかし、その分、気の弱さが災いして、
友理が犠牲になる事が、多かった。
動きが遅い分、入るのが遅れて、
ぶつかると、
「痛いなあ、ファウルだろっ」
「すんません」
そんな場面が、何度も見られた。
友理が、言い返さないのをいい事に、
キツい言い方をされることも多々あった。
しかし友理は、そのことを、
何とも思っていなかった。
バスケットとは、そんなものだと
思っていたし、
神戸の中学時代には、
相手にしてくれる者も、いなかった。
だから、たとえ少々荒くても、
本気でぶつかってくれる事が、
嬉しかったのだった。

