部活~ウチらバスケ部~高校編     第1部


千夏たちが体育館に帰って来たのは、
友理が帰って来てから、
かなり経った後だった。

練習も、かなり進んでいて、
丁度、休憩の時だった。

千夏は、体育館に入って来るなり、


  「あー、もう、やってられない」


そう言いながら、明美の所へ行った。

明美の前に立つと、


  「何で、こんな事、
   しなくちゃならないんだよ」


と、大きな声で言った。


  「これじゃあ、
   他の練習が出来ないじゃん」


大声が、怒りを呼び、
さらに声が大きくなって行く。


  「スタミナをつけなきゃ」


そう言う明美に、


  「アケは、レギュラーじゃないから
   出来るんじゃん」


それを聞いて佐紀は、ハッとした。

それは、言ってはいけない言葉だと思った。

それに、どう考えても、千夏の言い分は
間違ってる。

千夏を見ると、千夏は怒りで、
顔が赤らんでいた。

佐紀は、また、明美が折れてしまうかと、
明美を見た。

しかし、明美は冷静に、


  「わかった。今日はもう、帰って。

   また、バスケがしたくなったら、
   出て来て」


それを聞いて千夏も、
自分が何を言ったのかに気が付いて、
怒りが、治まってきた。


  「ゴメン、言い過ぎた」


そう言うと、麻紀の横に行き、腰を下ろした

佐紀は、もう一度、明美を見た。

佐紀には、明美の変貌ぶりが、
信じられなかった。

あの、自身なさげな明美が、
今は、自身たっぷりである。

いったい何が、明美を変えさせたのか、
佐紀には、わからなかった。

それを知っているのは、華子だけだった。