明美は、練習を始める前に、皆を集めた。
「甲陽高校のバスケットは、
最後まで、諦めることなく走り続ける
バスケットだと思う。
だから、新人戦までの間に、40分間
走れる体力をつけたいと思う」
すると、千夏が口をはさんだ。
「えー、そんなの、もういいじゃん。
十分、体力、ついてるし」
しかし明美は、その言葉は、無視した。
「だからこの、アウトのランニングは、
しばらく、続けて行きたいと思う」
「しばらくって、いつまでなんだよ」
「少なくとも、夏休みの間は」
「えー。コーチは、どうしたの。
あれから全然、来てないじゃん。
詫び、入れたんじゃないの?」
「コーチには、体力がついたら、
話して、来てもらうことにする」
明美は、麻紀を見て、
「マキは、どう思う?」
と、意見を求めた。
「仕方ないねえ。
それで、いいんじゃないの。
早く、コーチに来て欲しいし」
麻紀が同意したことによって、千夏は、
それ以上、文句を言えなくなった。
「後の練習は、今まで通り、
20分したら、始めることにする。
なるべく、時間内に帰って来るように
じゃあ、校門に、集合ね」
皆は、体育館を出て行った。
千夏も、憮然とした顔で、
体育館を出て行った。

