明美の声が、次第に、しっかりとして来た。


  「だから、まずは、一生懸命やることを
   教えなくちゃね。

   それが出来ないのなら、
   辞めてもらうのも、
   仕方ないんじゃないの?

   バスケットが好きなら、
   そんな中途半端な事、
   出来る訳ないでしょう?

   それは、バスケットが好きじゃなくて
   勝つことが、好きなだけなのよ」


  「はいっ」


明るい声が、返って来た。

弥生が明美の顔を見ると、
何か、吹っ切れた顔になっていた。


  「わかりました。
   ありがとうございます。
   なんか、やれそうな気がしてきました

   相談して、よかったです」


  「そう。でも、コーチとは、
   よく相談してね。

   コーチの指導を受けたければ、
   コーチの意向を無視は出来ないから」


  「はい、わかりました」


  「じゃあ、頑張ってね。

   困った事があったら、いつでも来て。
   相談に乗るから」


  「ありがとうございます。
   じゃあ、失礼します」


明美はそう言って、学習ルームを出て行った



図書館を出ると、日差しはまだ強かったが、
今の明美には、それ程、苦にはならなかった