弥生は、明美を落ち着かせようと、
ゆっくり話した。


  「何かで、読んだんだけど、
   神様は、乗り越えられない試練は、
   与えないものらしいわよ。

   だから、あなたにも、出来るわよ」


冷静な弥生の言葉に、
明美も、少し落ち着いてきた。


  「でも、私……、バスケット
   上手くありませんから」


  「前も、言ったでしょ。
   それは、関係ないのよ」


  「でも、言う事を、聞いてくれません」


  「あなたは、どんなチームを、
   作りたいの?」


明美は、少し考えてから、


  「はっきりとしたイメージは、
   持っていませんが……」


  「それは、大切なことよ」


  「強いて言うなら、一生懸命、
   バスケットをするチームでしょうか。

   理想かもしれませんが……」


  「勝ちたいの?」


  「私にはそれ程、その意識はありません

   まあ、勝てば、それはそれで、
   嬉しいですけど」


  「だったら、それでいいんじゃない?
   私もその考えは、正しいと思うわよ。

   勝てなくてもいいのなら、
   上手い下手に、固執することも
   ないわよね。

   いくら上手くても、
   一生懸命やらないのなら、
   切り捨ててもいいんじゃない?」