放課後、佐紀と華子が体育館に行くと、
明美の姿が、見えなかった。
佐紀は、明美と仲のいい佳奈に訊ねた。
「キャプテンは今日、休みですか?」
すると、横から千夏が、
「アケは今、コーチに詫びを、
入れに行ってるんだよ」
「アンタらのおかげで、
こっちは、エライ迷惑だよ」
“それは自分たちが悪いからだろっ”
1年生は全員、そう思ったが、
口に出すことはなかった。
「じゃあ、1年生は、走って来な」
千夏の言葉を聞いて、
佐紀は、”えっ”と思った。
まだ懲りてないのかと千夏を見ると、
千夏は、睨み返してきた。
「何だよ。文句あんの?
1年生は、スタミナつけるために、
走っときゃ、いいんだよ」
“それは、お前だろっ”と、皆、思ったが、
やはり、口にすることは、なかった。
「じゃあ、行きましょうか」
「うん、そうだね」
「スタミナ、スタミナ」
「スタミナ、つけなくっちゃ」
皆、面々に、2年生に聞こえるように、
大きな声で言いながら、体育館を出て行った
後ろでは、千夏が、
恐ろしい形相で睨んでるのを
佐紀達は、知らなかった。