最後に、再び、弥生が、


  「我が校の伝統として、
   次期キャプテンは、
   現キャプテンが指名することに
   なってるの」


そう言うと、2年生が一斉に、緊張した。


  「次のキャプテンは……
   アケ!、あなたに、やってもらう」


2年生の間に、動揺が走った。

皆が、明美と麻紀を、驚きの表情で見た。

誰もが、麻紀がキャプテンになると、
思っていたからだ。

しかし、一番驚いたのは、明美だった。


  「えっ、……なんで、私なんか……」


  「キャプテンは、バスケットの
   上手い下手には、関係ないわ。
   いかに、全体が見えるかどうかなの。

   アケ、あなたには、
   それがあると思うの」


弥生は、麻紀を見て、


  「麻紀には、バスケットに
   専念してもらいたいの。
   いいわね、麻紀」


弥生の言葉には、
有無を言わさぬ響きがあった。


  「はい……」


麻紀には、少し不満の表情が、見て取れた


  「じゃあ、明日からは、アケを中心に、
   私たちが出来なかった
   県大会優勝に向けて、頑張ってね」


  「はいっ」


  「じゃあ、みんな、本当にありがとう」


3年生は、深々と、頭をさげた。

皆は、3年生に、拍手を送った。