点差は、徐々に開いて行った。

昨日のように、千夏を下げて、明美を出すが
相手も、想定済みだったらしく、
打開策とは、ならなかった。

弥生の頑張りは、痛々しいほどだった。

これが最後だと、わかっているのだろうが、
可能性を信じて、必死に、走っていた。

それは、華子の頑張りとは、
次元の違うものだった。


そして、………………



試合終了の、ブザーが鳴った。

  「ピィーーーー」

審判の、長い笛が鳴る。

  「タイム・アップ」



佐紀たちの体から、力が抜ける。

全員、椅子に座りこんで、動かなかった。

誰も、言葉を発せない。

そして、佐紀のほほを、一筋の涙が、伝った

弥生の頑張り、
そして、それが報われなかった事、
それを思うと、自然と、涙が出て来た。


コートでは、試合後の挨拶が、行われていた

  「ありがとうございました」

しかし佐紀たちは、それをボンヤリ観ていた



表彰式の間も、佐紀たちは、そのまま、
観客席にいた。

表彰式が終わると、やっと、
梨沙が、体を起こした。


梨沙「さっ、下へ行こう?」


皆も、ようやく体を起こし、立ち上がった。