観客席では、佐紀たちが、
力なく、椅子に座る。


梨沙「あー、逆転かぁ」


雅美「まっ、簡単には、
   勝たせてくれないよね」


ベンチでも、皆、椅子に座りこんで、辛そう


千奈「こらー、華子―、しっかりせいっ」


佐紀「もう、千奈ぁ」


華子は、聞こえたのか、少しこちらに、
首を向けた。

しかし、すぐに向きなおって、
頭を、深く下げてしまった。


千奈「あれっ、華子の反応、薄っ」


佐紀「華子も、一杯一杯かもね」


友理「へー、華子も、そんな事あるんや」


梨沙「まっ、華子も、人間だって事じゃん」



  「ピッ」

審判の笛が鳴る。

  「3分前」



佐紀「さあ、元気出して行こう?

   ここで私たちが落ち込んだら、
   終わりだからね」


千奈「よーし、もうひと踏ん張り、行くか」


千奈は、腕まくりしてみせた。

コートに出て行く弥生に、佐紀が声をかける


佐紀「弥生さん、ファイトー」


弥生は、ポジションに向かいながら、片手で
ガッツ・ポーズを見せた。