梨沙のクラスでは、いかつい男の先生が
説明をしていた。


  「私が、このクラスの担任の、岩田だ。
   お前たちも、今日から高校生だ。

   これから、高校生活が始まるんだが
   校長先生の話にもあったように
   自覚を持って、行動するように。
   何か問題を起こしたら、
   退学もありえるんだからな。

   まあ、これからの勉強次第では、
   上のクラスに行くことも出来るし。
   大学へ行きたきゃ、勉強しろよ」


  「それでは、席決めをする。
   各自、好きなところに座れ!」


全員立ち上がり、
教室が一気に騒がしくなった。

先生が、大きな声で、


  「まあ、待て、待て」


さらに声を張り上げて、


  「ただし!重なった時は、じゃんけん。
   力ずくは、ダメだからなぁ」


皆が席を決めている間、岩田先生は、
座ってそれを、じっと見ていた。

時々


  「おいっ、声が大きいぞ。
   もう少し、静かにしろっ」


とか、ちょっとモメ始めると、


  「オイオイ、そこ、
   じゃんけん、じゃんけん」


と、注意するだけだった。

一段落して、席が決まると


  「それでは、出席を取る。
   名前を呼ばれたら、手を上げろ」


そう言って、次々と名前を呼んでは、
席次表に、名前を書き込んでいった。