入学式が、始まった。
校長が、舞台の上で、話している。
「君たちは今日から、高校生です。
高校生の自覚を持って……」
女生徒が壇上に上がり、歓迎の言葉
「皆さん、ご入学、
おめでとうございます」
女生徒を見た華子が、
顔を近づけてきて、小声で、
「あの人が、生徒会長の桐原弥生さん。
バスケ部の、キャプテン。
才色兼備ってトコかしらね」
「へー。
ここのバスケット部って、
強いの?」
華子は、驚いたように、
「あなた、何にも知らないで、
ここに来たの?」
「だって、近かったから」
「全く……、おめでたいわね。
県で、ベスト4の常連だわ。
今年は、弥生さんがいるから、
優勝も狙えるって話よ」
「へー、凄いんだ」
「あなた、バスケ部に、
入るんでしょうね」
「もちろん」
「なら、いいんだけど。
この高校、
結構勉強も、大変みたいだから」
「へー、そうなんだ」
咳払いが聞こえた。
あわてて前を向く、佐紀と華子。
女の先生が、近寄って来て、小声で
「あなたたち、私語は慎みなさい」
かしこまって、軽くうなずく佐紀。
華子は、何事もなかったかのように、
前を見ている。
司会の先生の声が、体育館に響く。
「入学者代表、御園華子さん」
「はい」
華子が、スッと立ち上がる。
それを、目を丸くして見上げる佐紀。
「えっ」

