5時間目、国語の授業。

弁当もすんで、先生の単調な言葉が、
教室に響くと、睡魔が襲ってくる。


  「それでは、中村君」


祐太が当てられたが、返事をしない。


  「中村君?」


後ろの佐紀が、背中をトントンと叩くが、
祐太は動かない。


  「中村君!」


先生の声がキツくなったので、ヤバイと思い
佐紀は、鉛筆の背で、祐太の脇腹を
思いっきり、突いた。


  「ウニョァ~」


突然、祐太が身をよじり
大きな変な声を出した。

その声に、教室は、笑いの渦に包まれた。


  「中村君、起きてます?」


  「はい」


  「じゃあ、これ、答えなさい」


  「すみません、聞いてませんでした」


低い声で、ボソボソと話す、祐太。


  「聞いてなかったんじゃなく、
   聞こえなかったんじゃない?」


  「いえ」


  「じゃあそこに、
   ずっと、立ってなさい」


結局、祐太は、授業が終わるまで、
立たされていた。