練習が終わって、佐紀たちが、体育館から
出て来た。


友理「あ~、しばらくやってなかったら、
   結構、しんどいわ」


佐紀「いきなり、オール・コートだもんね」


華子「あなたたち、休みの間、
   何もしてなかったの?」


友理「ちょっとは、走ってたけど、
   それと練習はまた、違うやん」


千奈「やっぱ、高校生は、違うね」


雅美「私らも、高校生だよ」


千奈「あっ、そうだった」


梨沙「華子が、変なこと言うから、
   一緒に練習できないと
   思ったじゃん」


友理「ホンマや。
   結構、心配してんで」


華子「昨日、キャプテンが言ってたでしょ。
   私たちはまだ、お客様なのよ」


梨沙「もう~、そんなこと言ったら、また、
   寝られなくなるじゃん」


華子「まっ、その時はその時だわね」


雅美「華子は、いいよ。
   レギュラー、確実だもん」


友理「ウチら、無理やなあ」


雅美「ウチらって、私も入ってんの?」


友理「うん、まあ……」


雅美「やめてよ。
   私は、狙うよ。
   レギュラー、獲るんだから」


佐紀「そうそう、
   ミヤは、そうでなくっちゃ」


“ミヤ”と聞いてまた、
梨沙のスイッチが入ったのか、
華子の顔を見て、クスクス笑い始めた。


華子「何よ」


梨沙「ミソ、だって」


友理「あれは、傑作やったわ」


梨沙「ミソにしてもらったら、
   よかったじゃん」


華子「いやよ、そんなの」


華子は、憮然とした顔になる。


梨沙「そうそう、その顔。その顔。
   もう、笑い、こらえるの、
   大変だったんだから」


華子「この顔は、生まれつきです」


佐紀「もう、梨沙ぁ。
   からかうの、やめなよ」


梨沙「わかった。
   じゃあ、今日はこの辺で、
   勘弁してやるか」