3年生は、弥生の所へ、走って行った。


  「ありがとうございます。
   見に来てくれたんですね」


  「見せてもらったわよ。
   アケ、いいチームに、仕上げたね」


それを聞いた途端、明美の目に、
涙が溢れた。


  「私の判断は、間違ってなかったわね

   私は、キャプテンをして、
   生徒会長もしていたから、
   バスケットに集中できなかったわ」


弥生は、麻紀を見て、

  「だから、マキ、あなたには、
   同じ様に、なって欲しくなかったの」


麻紀の目にも、涙が溢れて来た。


  「周りが見えるアケをキャプテンにして
   あなたには、バスケットで、アケを、
   サポートしてほしかったの。

   今日の試合を見て、そういう風に
   なってたから、とても嬉しいわ」


弥生は、2人の涙に気付いて、


  「あら、どうしたの?」


  「いえ、何でもありません」


すると、矢島が、


  「ナツ、あんた、どうしたの?
   あんなに、スタミナ、あったっけ」


弥生も、

  「練習嫌いのあなたが、
   あんなに走るなんて、
   今日一番の、驚きでしたわ」


  「バレてました?」


  「知ってるわよ」


千夏は、2年生をチラッと見て、


  「まあ、いろいろ、ありまして」


そういって、頭をかいた。

弥生たちは、それで、おぼろげながらも、
何があったかを、理解した。


  「いい後輩を、持ったわね。

   じゃあ、上で見てるから、
   頑張ってよね」


  「はいっ、頑張ります」


弥生たちは、手を振って、
観客席へ戻って行った。