佐紀が下に降りて行くと、機嫌のいい
コーチの声が聞こえた。


  「次は、シード校だが、今のウチなら、
   勝てない相手ではない」


1回戦では、千夏も和美も、何の問題もなく
走っていた。

この2人の、不安要素が減ったため、
チーム力は、格段にアップした。

今までなら、ベンチから、千夏や和美を
怒鳴っていたコーチも、
安心して、見ることが出来たのだ。

コーチの機嫌がいいのも、もっともである。


  「いいな、次の試合に、全てを賭けろ」


  「はいっ」



コーチが、皆の元を離れ、角を曲がると、
弥生たちがいた。


  「あっ、コーチ」


  「おっ、ヤァか。
   おお、マミにマァも」


  「お久しぶりです」


  「元気、してるか?」


坂井コーチと弥生たちは、
積もる話に、花を咲かせた。