矢島は、佐紀に訊ねた。


  「今年は、どうなの?」


  「地区予選は、ベスト8でした」


  「そう。じゃあ、
   あまり期待できないわね」


  「みんな、頑張っていますよ」


  「あら、あなた、いい子ね」


佐紀は、面と向かって言われて、
ちょっとテレたが、なぜ、そう言われたかは
わからなかった。


試合が始まった。

相手は、他地区の、
ベスト4に入るチームである。

簡単には、勝たせてくれない。

試合は、シーソー・ゲームだった。

弥生たち3人は、黙って見ていたが、
佐紀が横を見ると、シュートが入った時など
小さく、ガッツ・ポーズをしていた。

それを見て、佐紀は微笑んだ。


試合は終盤、相手の疲れが見えたころ、
立て続けに速攻が出て、逃げ切った。