そんな練習が、何日か続いたある日、

佐紀達が、体育館で練習していると、
坂井コーチが、入って来た。


  「こんにちはー」


大きな声が、体育館に響いた。

驚いたのは、コーチだった。

こんな事は、ここ数年間、なかった事である


  「おっ、おぉ」


コーチは、妙にテレて、隅に置いてある
椅子に腰掛け、練習を見始めた。

驚いたのは、挨拶だけではなかった。

練習の雰囲気が、以前とは、まったく違う。

練習の中に、ピリピリとした緊張感がある。


  「よしっ」


坂井コーチは、今までになく、
ヤル気になって、立ち上がった。