次の日、甲陽高校、放課後。
佐紀が1年生を連れて、校門へ行くと、
3年生がいた。
「あれっ、みんな、どうしたんですか」
麻紀が、
「練習前に、走ることにしたんだ」
すると、明美が来て、
「1年生は、私らが見るから、
サキは、いいよ。
自主練、して来て」
「いえ、私も、走ります」
千夏が、
「なら、好きにしな。
こんなキツいの、自分からするなんて
モノ好きだねえ」
そう、笑顔で言った。
佐紀は、初めて千夏から、
笑顔で話しかけられた。
そして、このチームが、変わり始めていると
感じた。
神社で、3週目を走っている時、
佐紀は、千夏を追い越した。
千夏は、フウフウ言いながら、
必死に、走っていた。
「ナツさん、ファイト!」
「おっ、サキ、速いなぁ」
「毎日、走ってますから」
佐紀は、千夏と軽い会話を交わしたことで、
晴れやかな気持ちになった。
そして、嬉しさが溢れて来て、
笑顔になっていた。
佐紀は、校門に着くまで、
笑顔で、走り続けた。

