梨沙が、不思議そうに、
「でも、何で、ユリだったんだろう。
あそこは、カナさんでしょう」
雅美が、
「“出ます”って、
アピールしたからじゃないの?」
「友理が出て来た時は、驚きましたわ」
すると、友理が、
「ウチも、びっくりしたわ。
リカがファウルして、何回目やろって
オフィシャルを見たら、
コーチと目が合ってな。
ほいで、
“よし、行けっ”って、言われてん」
雅美が驚いて、
「えっ、そうなの?
“私出ます”って、胸、張ったように
見えたんだけど」
「ちゃうねん」
「キャハハハハ、受けるぅ」
歩美は、手を叩いて、爆笑した。
他の皆も、大笑い。
千奈は、可笑しくて、涙を流しながら、
「それで、いつもの友理だったら、
コーチ、一生、後悔したかもぉ」
「とまれ、あの、まぐれのブロック
一発が、今日の勝因だね」
「まぐれのね」
佐紀が、友理を庇おうと、
「いいじゃないの、まぐれでも。
あれで、勝てたんだから。
それに、滅多にないコトなんだし」
友理が、残念そうに、
「佐紀。それ、フォローに
なってへんで」
「えっ、そうなの?」

