試合が終わり、佐紀達は、
残りの試合を、集まって、観ていた。


離れた所では、3年生が集まって、
今日の試合の事を、話し合っていた。


  「よかったぁ、県大会、行けて。

   これで行けなかったら、
   先輩たちに、何て言われるか」


  「ソノ、あれ、一体何なの?

   あれだけ出来るのなら、
   もっと前から、やれっちゅうの」


すると、明美が、


  「傍から見ていて、ソノは、
   もう、一杯一杯だったと思うよ。

   ただ、佐紀のために、何とかしたいと
   思ったんじゃない?

   何かで、読んだことがあるよ。
   人は、誰かのためにしたいと思った時
   より大きな力を、出すことが出来る。

   そんな感じの事を、書いてたと思う」


千夏が、能天気な声を上げた。


  「まあ、とまれ、私らのために、
   頑張ってくれたんだから、
   感謝しなくちゃ」


すると、明美が、


  「2年生は、私達のために
   頑張ったんじゃないと思うよ」


  「じゃあ、誰のためなんだよ」


  「それに私たち、2年生に、
   私たちのために頑張ろうって、
   思わせる事、何かした?」


  「うーん……、それは」


  「たぶん、バスケットというものに、
   不誠実な真似は出来ないと、
   思ったんじゃない?」


  「バスケットというもの?」