部活~ウチらバスケ部~高校編     第1部


友理が、必死にリバウンドを取り、
サイドへパス。

麻紀か華子が、センタリング。

ドリブルで突っ込み、ディフェンスを
引き付けて、逆サイドへパス。

このパターンが、面白いように決まった。

たまらず、明邦高校が、
最後のチャージ・タイム。

審判の笛が鳴る。

  「チャージド・タイムアウト」


明邦のチャージ・タイムは、
これで、無くなった。

残分5。甲陽高校、8点のビハインド。



ベンチに戻ると、坂井コーチが、
俄然、やる気になっていた。


  「いいな、もう、タイムアウトは
   取らないから、よく聞け。

   残分2になったら、俺が合図するから
   プレスだ。

   それから、ユリ!
   お前はフロント・コートに
   行かなくていい。
   バックにいて、ロング・パスを狙え。

   攻めるのは、4人でやれ」


佐紀が、


  「ユリ、絶対、ボールをポストに、
   入れさせちゃダメ。
   裏は切らせていいから、前を止めて。

   裏は、マキ、ソノ、行って」


  「うん、わかったわ」


友理が、うなずく。

麻紀と華子も、うなずいた。


  「ボールを取ったら、アケが先走り。
   エンドに行ったら、逆サイドに出て」


佐紀の言葉から、さん付けが消えていた。

しかし麻紀も明美も、何の違和感もなく、
それを受け入れていた。