タイムアウト終了のブザーが鳴った。
明美が、コートに出て行こうとすると、
佐紀が、
「アケさん、声」
「あっ、ゴメン」
みなで、円陣を作り、
「甲陽―」
「ファィ」
試合が再開された。
佐紀が入った事で、まず、華子が変わった。
どこにそんな力が残っていたのかと思うほど
動きがよくなった。
まるで、佐紀にパワーを貰ったみたいだった
そして、それにつられて、麻紀が動き始めた
点差は、徐々に詰まっては来たが、
逆転できるかどうかは、微妙な状況だった。
明邦は、チャージ・タイムを取った。
すると明邦は、コーチの指示が効いたのか、
麻紀や華子へのカバーが、厚くなり、
得点の伸びが止まった。
審判の笛が鳴る。
「クォーター・タイム」
第3クォーターを終わって、
甲陽、16点のビハインド。

