この状況に、コーチの坂井も、さじを投げた
「よし、わかった。
まあ、2年生に、経験をさせるのも
いいだろう」
すると、佐紀が、強い口調で、
坂井に詰め寄った。
「コーチも、諦めるんですか?
まだ試合は、終わっていません。
このまま、行かせてください。
私が、ナツさんと替わります」
この佐紀の迫力に、コーチも押され、
「そっ、そうか。
よし、わかった。行けっ」
「はいっ」
そして、麻紀に向かって、
「マキさん、行きましょう」
しかし、麻紀は、返事をしなかった。
「マキさん!、行けますよねっ」
佐紀の、その強い口調に、麻紀も、
「わかった。行くよ」
と、重い腰を上げた。
明美は、そんな佐紀を、茫然と見ていた。
“一体、誰?”

