第3クォーターが始まった。

コートに出て行く皆の足取りが重く、
佐紀は、嫌な予感がしていたが、案の定、
立ち上がりに、2ゴールを取られてしまった

そこから、一進一退を繰り返すが、
差は、縮まらない。

元気なのは、明美だけだが、その元気も、
空回りしているようだった。

もう限界なのか、
千夏の試合放棄とも取れるプレーが、
見られるようになった。

そのカバーに行った里香が、
4回目のファウルをしてしまった。

コーチは、たまらず、タイムアウトを取った


審判の笛が鳴る。

  「チャージド・タイムアウト」

甲陽高校、20点のビハインド。



ベンチに帰って来ると、麻紀と千夏は、
ドスンと、椅子に座った。

コーチが怒ってやって来たが、
コーチが口を開く前に、千夏が、


  「コーチ、もうだめです、走れません」


すると麻紀も、


  「もう、逆転なんか、出来ません。

   点差は、開くばかりだし、
   アケが………」


麻紀は、そこで言葉を止めた。

明美が、悲しそうに、2人を見ている。

佐紀は聞いていて、次第に怒りが、
込み上げてきた。

明美のためにも、黙っていられなくなった。

麻紀と千夏の前に、出て行き、


  「マキさん。
   まだ試合は、終わっていませんよ。

   ナツさん。諦めるんですか?」


すると千夏が、逆ギレをした。


  「サキ。あんたなら、逆転できるって
   言うのかよ。

   じゃあ、やってみなよ」


完全にチームは、崩壊した。