3回戦の、明邦戦が始まった。
一度、気を抜いてしまうと、
元に戻すのは難しい。
特に、千夏や和美には、振り絞る気力さえ
残っていないように見えた。
勢いその負担は麻紀と華子に掛かって来る
2人の消耗は、激しかった。
第1クォーターこそ、互角に戦っていたが、
第2クォーターに入ると、徐々に、
差がつき始めた。
ベンチからの、コーチの声は、ほとんど、
千夏と和美に向けられたものだった。
コーチは、和美をあきらめ、明美を入れた。
しかし、試合経験の少ない明美は、
皆とリズムが合わず、得点は伸びなかった。
ディフェンスでの負担は、センターの佳奈に
掛かって来て、第2クォーターの中盤で、
4回目のファウルをしてしまった。
そこで、里香に替えるが、里香も早々と、
2個のファウルをしてしまった。
審判の笛が鳴る。
「ハーフ・タイム」
前半を終わって、甲陽12点のビハインド
華子は、ベンチに座って、深く頭を落とし、
かなりバテているように見えた。
それは、麻紀や千夏も同じだった。
3年生は、ここで負けたら終わりだと、
知っているから、必死で頑張っていた。
千夏も、必死で頑張ってはいるのだが、
今までのツケが効いていて、
体力的に、厳しい状態にあった。
コーチが来て、檄を飛ばすが、
もはや、何の効果もないようにに思われた。
佐紀が、華子の横に座る。
華子の肩に手を置き、
「大丈夫?」
「ええ、なんとか」
横にいた里香に、
「リカ、ファウル・ケア」
「うん。わかってんだけど」
そう言いながら、千夏の方を、チラッと見た

