初戦は、無難に勝つことが出来たが、
2回戦は、苦戦した。
シーソー・ゲームを繰り広げ、
最後まで、勝敗の行方は、わからなかった。
佐紀も、観客席から、声を限りに応援した。
「行けー! あっ」
歩美が、レイアップの後、
ディフェンスと交錯して、倒れ込んだ。
歩美が、起き上がって来ない。
メンバーが、周りに寄って来る。
審判が行き、コーチが呼ばれた。
観客席では、佐紀が、心配そうに見ていた。
亜紀が横に来て、
「捻挫ですかね」
「うん、そうみたい」
「ちょっと、痛いですね」
「いや、カズさんがいるから
大丈夫だよ」
「カズさん、もちますかね」
さすがに亜紀も、和美が練習で手を抜いて
いるのを、知っていた。
和美は、前半でバテてしまって、
歩美と替えられていたのだった。
「大丈夫だよ………たぶん」
こういう競った試合では、
技術もさることながら、どういった姿勢で
練習してきたかが、大きく影響する。
その点では、甲陽高校は、千夏や和美の、
不安要素を抱えていることになる。
佐紀も、亜紀も、それを心配していた。