部活~ウチらバスケ部~高校編     第1部


祐太が、やって来た。


  「何だよ」


  「佐紀がね、祐太がテストの時、
   手ブラで来るのは、なぜかなって」


華子が佐紀を見ると、佐紀の耳たぶは、
真っ赤になっていた。

佐紀は、後ろの机に、
頬杖をつくようにして、耳たぶを隠した。


  「うん、まっ、その、なぜかなって…」


華子は心の中で、拍手しながら、
“上手いっ”と思った。


  「祐太、中学の時からですわよね」


  「ああ、そうだよ。
   2年の終わりに、テストの時、
   1度も教科書を開いてないのに、
   気がついたんだ。

   なら、そんな重い物、
   持ってこなくてもいいやって。

   それに、見たけりゃ、
   みんな持ってるし」


  「どう? 佐紀さん、わかりまして?」


華子は、自分では、気付いていなかったが、
佐紀をからかう時だけ、
“佐紀さん”と、さん付けになっていた。


  「えっ、う、うん、わかりました」



次のテストのため、先生が入って来た。


  「あら、もう休み時間、終りなの?」


祐太も友理も、自分の席に、戻って行った。

華子も、残念そうにして、席に着いた。

佐紀は、しばらくの間、
頬杖をついたままだった。

しかも、右手でついていたので、
問題を、2回も読み返すことになった。

そして後ろでは、そんな佐紀を、
ニコニコ見ている、華子がいた。