佐紀が、祐太の方をチラッと見て、
「ところで、祐太、テストになると、
手ブラで来てるみたいだけど」
「あら、気がつきましたの」
そう言いながら華子は、内心ニヤリとした。
“そりゃ毎日見ていたら、気がつくだろう”
華子はそう思った。
そして、“これは面白い展開に
なって来たぞ”と思った。
「へー、そうなんや。気ぃつかなんだ」
「気になりますの?」
「えっ、あっ、いや、
そういうわけじゃ……」
華子は心の中で、手を叩いて喜んでいた。
佐紀の狼狽ぶりが、面白くて、
仕方がなかった。
そして、さらに追い打ちをかけるべく、
「ちょっと、訊いてみましょうか」
「えっ、あっ、いや、そこまでは……」
しかし華子は、佐紀の言葉は無視して、
「祐太ぁ―、祐太、ちょっと来て」
と、祐太に声をかけた。

