華子が、校門を出ると、黒塗りの大きな車が
前に止まった。


  「じゃあ私たち、これで帰るけど、
   あなたたちも、乗って行く?」


  「私たち、近くだから」


  「そうだったわね。じゃあ、また明日」


華子たちは、車に乗り込んで、帰って行った

その車を見送る佐紀たち。


  「大っきな車やなあ」


  「いいなあ~。
   きっと、凄いお金持ちなんだろうね」


  「いいじゃん、お金なんて無くたって」


  「お金持ちには、お金持ちの苦労が
   あるって言うやん」


  「さあ、無い者同士、帰ろう」


  「うちは、あるよ」


  「えっ、じゃあ、おごって、奢って」


  「だ~めっ」


  「千奈の、ケチっ」


  「だって、お小遣い、少ないんだもん。
   うちのパパが、ケチなんだ」