1列に並んで、神妙に参拝して、
拝殿から下りて来た。

梨沙が、


  「ねっ、ねっ、何、お願いしたの?」


  「健康に過ごせますように、ですわ」


  「バスケが、上手くなれますように」


  「ウチは、2年生と、
   仲ようなれますように」


  「だよねぇ」


  「ねっ、ねっ、佐紀は?」


  「私も、バスケットが、
   上手くなれますようにって」


  「えー、それ、違うんじゃないの?」


梨沙は、悪戯っぽく、
佐紀の顔を、覗き込んだ。


  「何で? もっとバスケットが…」


その言葉を遮って、梨沙は、


  「本当にぃ?」


  「本当だよ」


  「佐紀とクラスが離れて、
   わかんないんだけど、
   何か、違う気がするんだよね」


  「そんなことないよ。
   いつもといっしょだよ。
   じゃあ、梨沙は?」


  「私は……」


梨沙は突然、走り出した。


  「あっ、逃げた!」


あわてて後を追う、佐紀と友理。


  「ちょっと、待ってよ、梨沙ぁ―」


  「待ってぇな」


取り残される、華子たち。

歩美が、恨めしそうに、


  「ちょっとぉ、華子が、
   着物にしようなんて言うからぁ。
   いいトコ、見逃しちゃうじゃん」


  「来年は、洋服に、しましょうね」


そう言って、速足で、佐紀達の後を追った。