佐紀は、華子の着物姿を見ながら、


  「華子、今年も、着物なんだ」


すると歩美が、素っ頓狂な声を上げた。


  「あれぇ、デジャ・ヴ?
   このシチュエーション、
   どっかで、見た事が…」


  「おととし、中学2年の、お正月。
   ここで会ったじゃん」


  「あの、上から目線の言い方に、
   絶対、港北に勝つんやって、
   神様に、お願いしたんやで」


  「つまらぬことを言ったものですわね」


しかし、佐紀はしみじみと、


  「でも、あれが無かったら、私、
   今、ここにいないかもしれない」


  「せや、ウチら、あれで必死に
   なったんやもんなぁ」


里香は、華子に笑いながら、


  「ホントに華子、つまらないことを
   言ったもんだね」


歩美も、懐かしそうに、


  「おかげで、苦労したよ」


  「反省してますわ」


佐紀は、皆に、


  「じゃあ、お参りに、行こっ」


  「そうですわね」


皆は、神社の拝殿に向かった。