すると、その時、祐太の後ろで手を振る、
華子の姿が、浮かんできた。


  “華子は、知っている”


まだ佐紀自身が気づいていない時、
華子は敏感に、感じ取っていたんだ。

そう思うと佐紀は、顔が火照ってくるのを、
感じた。


  “それで文化祭の時、
   横に座らせたんだ”


佐紀は、華子の行動に、合点がいった。

今の佐紀は、もし華子が見たら、小躍りして
喜びそうなくらい、真っ赤になっていた


  “弱ったなあ、これからは、
   関心がないように見せなくちゃ”


そう考えたが、それで上手く行くのかは、
自信がなかった。


  “華子に、面と向かって聞く訳にも
   いかないし、どうしよう”


しかし、いくら考えても、答えは出なかった

華子の顔が出て来た時からは、祐太の姿は、
奥に引っ込んでしまっていた。


  「まっ、いいかぁ。
   さっ、宿題、宿題」


佐紀は、誰に聞かせるでもなく、
独り言を言いながら、また、宿題を始めた。