佐紀は、自分の部屋で、宿題をしていた。

部屋には、音楽が流れている。

課題の一つが終わったので、一休みと、
音楽に耳を傾けた。

佐紀は、あれ以来、
ロックを聴くようになっていた。

するとなぜか、祐太の顔が、浮かんできた。


  “えっ、なぜ?”


佐紀は、少し戸惑った。

しかし、そんな佐紀の気持ちもお構いなしに
バスケットをしている祐太、
友達と、笑顔で話している祐太などが、
次から次へと、浮かんできた。


  “これって、恋?”


佐紀は、ようやく、自分の気持ちを理解した

今までは、多少気になる存在ではあったが、
ただ、話すのが恥かしいだけと思っていた。

しかし“恋?”って思った瞬間、鼓動が
激しくなり、胸が締め付けられる様な
気がした。


佐紀は、恋に落ちた。


  “宿題、しなくちゃ”


そう思って、次の宿題を始めたが、何だか、
別世界の自分が、字を書いているようだった

祐太の事を考えている自分が、横から、
宿題をしている佐紀を、見ている、
そんな感じだった。


  “何なの?、これ”


佐紀は、全く別人の自分を見た気がした。