体育館から出ると、
ようやく皆の緊張が解けた。


  「ありがとう、華子ぉ。
   もう、息が詰まりそうだったじゃん」


  「私たち、
   そんなに歓迎されてないみたいね」


  「えっ、そんな風には、
   見えなかったけど」


  「嬉しそうにしてたじゃん」


  「それは、3年生。
   3年生は、時間がないからね。
   戦力が充実した方が、嬉しいわよ。

   でも2年生は、レギュラーの座を
   奪われないかと思ってるかも」


  「そんなあ、私たち、レギュラーに
   なれるほど、上手くないよ」


  「私は、狙ってるわよ」


  「まあ、華子は、ね」


  「あなたも、狙ってみたら?
   2年生、それほどでもない
   みたいだから」


  「華子、何でもよく、知ってるのね」


  「あなたが、知らなさすぎるだけよ。
   自分が、どんな高校に入るのか、
   調べたりしなかったの?」


  「うん。だって近くにあったんだもん」


華子は、うんざりした顔をして


  「もう、わかったわよ。
   はいはい、近くにあったのね」


  「うん、だから、他の高校へ行く事など
   考えた事、なかったなあ」


  「私は、いろいろ考えたよ。
   だって、行けるかどうか
   わからなかったんだもん。

   でも、私立は、お金がかかるから、
   頑張ったんだ」


  「だよね。よく、頑張ったよ」


  「ホンマ、偉い、偉い」


  「エッヘン」


  「あんたたち、本当に、面白いよね」