しばらくして、佐紀が梨沙を見ると、
梨沙はまた、男子を見ていた。

佐紀に、肘で小突かれる梨沙。


  「梨沙ぁ」


  「ゴメン。でも、そんなに長くは、
   集中出来ないじゃん」


  「集中力は、長くても15分って
   言われてますからね。

   でもちょっと、早くありませんこと」


  「てへっ」



キャプテンの声が、体育館に響く。


  「3分、休憩」


コートの緊張感が解けた。

弥生が、やってくる。


  「どう?」


  「凄く締まった、いい練習ですわ。
   キャプテンの元に、
   統制もとれてますし」


  「そう……、ありがとう」


しかし、弥生は、複雑な表情を見せた。



  「あのう、私たち、
   やらなければならない事もあるので、
   今日はここで、
   失礼したいと思います」


  「あっ、そう。いいのよ。
   最初の1週間は、体験入部の
   期間だから。

   じゃあ、よかったら明日から、
   練習に参加してね」


  「はい、わかりました」


佐紀たちは、軽く会釈して、体育館を出た。