幕末ヒーロー

弥「あなたは逃げて下さい!!
相手は刀を持ってるんですよ?
女では無力です!!」


言いきる女将をあたしは睨み付けた。


菊「あなたは早死にしたいんですか。
そうでなければ静かにして下さい」


自分が叫んでいた事に気が付いたのか、女将は静かになった。


菊「もう一度聞きます。
アイツらの部屋は?」

弥「……上の階、一番奥の部屋です」

菊「あなたはここでジッとしといて下さい」


出て行こうとするあたしを女将は小さな声で引き止めた。


弥「あなたの名は……」

菊「“菊”と呼ばれています」

弥「菊、さん。
本当にありがとうございます」