幕末ヒーロー

菊「あなたはここの女将ですか?」

弥「はい。弥生と申します」


弥生さんは深々と頭を下げた。


菊「あなたの身に起こった事を話して下さい」

弥「はい…あれは昨日の夕方でした……――」


弥生さんの話はこうだ。

昨日の夕方弥生さんはいつものようにこの宿で働いていた。

すると編み笠を深く被った三人組が入ってきたかと思うと、突然殴ってきたのだという。

そして気が付くとこの部屋で縛られていた、と。


菊「…分かりました」


完璧に弥生さんの話を信用した訳ではないけど、額にうっすらと殴られた跡があった。


菊「ソイツらの部屋がどこか分かりますか」


そう聞くと弥生さんは目を見開きえっ、と声をあげた。