幕末ヒーロー

「……あぁ、分かった。
今晩だな」

「そうだ。
それまでに準備しておけ」


2人組は話が終わると宿の中へと姿を消した。


菊「逃がすかっ」


あたしはすぐさま宿の中へと入った。
しかし、2人の姿はすでに無く、女将も誰も居なかった。

仕方ない…片っ端から部屋を尋ねるか。

二階に上がり一つ一つ部屋を開けていく。


「……んー」


何個目かの部屋の前に立った時、襖の奥から声が聞こえた。

勢い良く開けると、女将らしい女性が縄で縛られ、口にはタオルを巻かれていた。

すぐさま縄を解きタオルを外すと何度もお礼を言ってきた。


「ありがとうございます。
本当に何と言っていいか…」