「だまれ三流。」


 由良は、傷だらけになった二本の足を必死に押さえつけて立ち上がる。


 足りない血は怒りが補ってくれているようだった。


「何だと?」


 フードの男が一瞬ひるむ。


 それだけ、由良は殺気立っていた。


「黙れと言ったんだ、三流風情の小悪党が!一流の悪党であるこの俺を前に、まともな口きいてんじゃねぇよ!」


 由良はフードの男をにらみつける。


「な・・・分かっているのか?私は不老不死だぞ?」


 だから、どうした?


「関係ねぇよ・・・。」


 由良の右手にはバタフライナイフが握られる。


 あの時、魔道師と戦ったときに使った、自分が一番使い慣れている武器。


 これで・・・


 この武器で、てめぇの心臓貫いてやる。


 由良は一気に飛躍する。


 目指すは、目の前のフードの男。


 瞬間。


 部屋中の魔方陣が光を放ち、突然消え去る。


「なっ・・・もしかして・・・アイツが・・・。」


 はじめてみせる男の焦りの表情。


 絶対的な自信が見せていた不老不死がなくなった瞬間。


 もちろん、由良には何が起こったか分からなかった。


 だが、それでも思った。




 ・・・・・・・・・・・・・・・余計な真似するんじゃねぇよ。悠人・・・・・。