【完】無知な彼女の周り


「遥花ちゃんって少女漫画とか読んだりする?」

「うん、結構読んでたよ。ちょっと前までだけどね」

「ほんと?私も大好きなんだ。なんていうかあの胸キュンがたまらないの」

胸キュンかぁ、そんなの最近ないなぁ、どうせこうだろ程度にしか思ってないし

「へぇ、でも物語って結構一緒じゃない?」

「うーん、でも、期待する方向に進んだりするのって嬉しいよ。それに全く同じ物語なんてないんだから」

まぁ、そうだよね。全く一緒ならそれはもうパクリだ。でも可奈子ちゃんが少女漫画が好きだとは。

「あ、ねぇねぇ、もしさ、物語を作るならどういうのにする?」

「そうだなぁ、」

このありきたりな物語が私の理想?ううん。面白そうだから、ただ眺めていようとしただけ。じゃあ、私の理想は?どういう物語なら私は満足する?

「……難しいなぁ、
可奈子ちゃんはどういう風にするの?」

「そうだな私は…学園ラブストーリーで、イケメンにモテモテの平凡な女の子とかいいよね」

「なにそれありきたりじゃない」

「えー、面白いと思うよー」

ありきたりであり、あなたのことでもあるのよ。可奈子ちゃん

「じゃあ、じゃあ、主人公がすっごい鈍感とかどう?」

「なにそれー」

「それでね、すっごい冷たいの。誰にも揺るがなくて、イケメンのアタックは無駄に終わるの」

そんなの、物語として成立しないよ

「その主人公最低だよ、主人公失格」

「ひどーい、面白いってー」

そんなたわいもない会話で時間は過ぎていってもうすぐ駅に着く