ここはどこだろう。目の前は真っ暗だ。
何があったのかわからない。

とりあえず、身体中が激痛だ。

あたしはその激痛に耐えながら、ゆっくりと目を開ける…


「空!?お父さん!!空が起きた!!」


目の前にはお母さん。
あまり大声で喋られると耳が痛い。
それと、この独特の匂い…
ここは…病院…?


「空?お父さんだ、わかるか?」


"わかるよ"
なかなかその声が出ない。


「ぅ……ン……」


あたしは短めに応えた。

一体何があったんだろう…
なんでこんな…


「空…あなた車に引かれたのよ?覚えてる?」


車に……あぁ…そうだ…
あたし、車に引かれた。

学校から家に帰る途中、急いでたら横から車が来て…そこで記憶は途切れてた。


「でも生きててよかった…」


お母さんが泣く。
あたしも生きててよかった、と思う。


「きっと瑞希君のおかげね…」


…瑞希?だれ?


「空が助かったのは、瑞希君が空をかばってくれたからなの。わかる?」


そういえば…車が来て、引かれる!って思った瞬間、誰かが「危ない!」って言って飛び出してきた気がする。