「ないよ~っ!ないないっ。」
「うっそー、ないんだぁ。なんか
意外」

自分の嘘付き。
まだ好きなくせに。
圭吾のことなんて忘れられないわけがないじゃん。

願うんだったら、もう一度圭吾に会って
今の私の気持ちを伝えたい。

── 帰り

「あ、朱莉私、今日用事あるから早く帰るわ!」
「うん、わかった♪んじゃあまた明日ね」
「ばいばい」

はぁ…、一人とかちょっと寂しいな。

「あれ?…朱莉…?」

へ…?いま誰か私のこと…
「あっ。」
「よっ、久しぶりだな。」

圭吾じゃん…。
こんなタイミングで合うなんて…。

「なに?お前今一人なの?」
「う、うん。」
「へぇ~、実は俺も。」
「一緒だね…。」
「てかお前好きな人いんの?」

私の好きな人は圭吾なんだよ。
ずっとずっと圭吾なんだよ。
いい加減私に振りむいてよ。
だいすきなんだよ。
いつもいつも圭吾の事ばっかり考えちゃうんだよ。

「うん、いるよ。なかなか振り向いてくれないんだけ
どね…。」
「そうか、俺も好きな人いるんだよね。」

まるで何かに刺されたように
胸が痛かった。

もう私には無理だ。
もうこれ以上圭吾のこと好きになれない。
かなわない恋なんだから。

「そっか、お互い頑張ろうね。」
「おう!んじゃあまた今度な。いつでも
連絡しろよ、相談乗ってやっから。」
「うん。ありがとう。」
「じゃあな!」