「伊織さんのこと、ニューハーフって嘘ついてたくせに」
「ああれはっ! お前に俺が遊んでると思われたくなかったから」
「だから嘘ついたの?」
「そうだよ。他は嘘はもうねーよ。信用できないか?」
できるわけ……ないか。こんなに女にだらしなくて、どうしょうもねぇ俺のことなんか……
「――信じる」
「へ?」
「信じるよ……」
それは、今まで泣いたり、怒ったりした感情的になった表情じゃなくて
柔らかないつもの優しい笑顔のラミカだった。
「伊織さん、買い物袋を両手にたくさん抱えてたし」
「早速、手切れ金で買い物かよ? そのうえ、ラミカに嘘を教えるなんて最悪だな」
マジで俺も最低だったけど、伊織も最悪な女だ。
「でも、それだけ聡ちゃんのことが本当に好きだったんだよ」
「お互い遊びだったんだぞ?」
「遊びならここまで押し掛けて来ないよ」


