「俺はまだ26だ。おじさんじゃねぇ」
…………………………。
………………………。
「……ご、ごめんなさい」
「謝られると余計虚しくなるだろ? さっさとうせな」
謝るラミカに男はため息をついて、地面に転がっている男の腕をひいて肩に手をまわして立ち上がらせた。
「じゃあな」
そう言って、雑居ビルへと入った行った。
ラミカは呆気にとられていて……俺の腕をグッと握ってきた。
「聡ちゃんも震えてる……怖かったね」
「ちげーよ! お前のおじさん発言に笑いをこらえるのに必死だったんだよ!」
「だって〜堂島さんと同い年だなんて……ヤクザの人達は年齢不詳っていうか……風格があるから大人に見えるんだもん」
……どうしてこいつはいつも笑えない状況で、笑いを生み出すんだよ……
あん時、吹き出してたら確実に撃たれてたな。死んでたな。
「……帰るぞ」
「聡ちゃん、あたし……」
「話は帰ってからだ。顔も冷やさねーと」
左手で頬に触れると、ラミカはこくんと頷いた。


