やべぇ。こいつは本物だ。ラミカに流れ弾が当たらないように移動しようとした時……
「ダメ! 撃たないで! あたし、風俗でも何でもするから!!」
ラミカがいきなり俺の前に飛び出してきた。
「バカ野郎! お前は下がってろ!!」
慌てて、ラミカの体を抱えて自分の体で盾をつくった。それでもラミカは暴れて前に飛び出そうとする。
「ラミカ!」
「やだやだ! 聡ちゃんを殺さないで! お願い……おじさん!」
泣き叫ぶラミカを押さえつけて必死でお互いをかばい合う俺らを男は黙って見ていて、懐に入れた手を出してポケットの中に入れた。
「……うちのバカが暴れるねぇちゃんを殴っちまったからな。そんな顔じゃすぐには店では使えないから無意味な争いはここまでだ」
「え?」
「先に手に入れたもんが勝ちってのもこの世界での暗黙のルールだ。そのねぇちゃんはもうお前らのもんみたいだから追わない。安心しな。だけどな……」
今までよりも殺気だった空気が流れる。何だよ……?


