蘭達のおかげでサツを振り切って、無事目的地に着けた。
狭い路地裏。小さな雑居ビルの二階にサンサン愛ランドの事務所がある。
街灯の灯りの下には、白のベンツ。ナンバーも合ってる。バイクから降りて、事務所に向かおうとした時、前に停車していたベンツのドアが開いた。
「降りろ!」
「嫌! 離してっ!」
ベンツから降りてきたのは紛れもなくラミカだった。
無理やり長い髪をひっぱられ、顔は真っ赤に腫れあがって唇からは血を流していて……
殴られたのか
ナグラレタ――……?
「なんだお前っ……ぎっ!」
口よりも手が先に出ていた。ラミカの髪をひっぱっていた奴の腹に思いっきり二発入れ込んだ。
その場で嘔吐する男。
「聡……ちゃん?」
「ラミカ、来い」
「聡ちゃん!」
手を差しのべると、涙でグシャグシャになった顔で真っ直ぐに俺の胸の中に飛び込んでくる小さな女。
「こ……怖かったよ……」
「もう大丈夫だ」
濡れて冷たくなっている震えた体を強く強く抱き締めた。


