雨で濡れたアスファルトは滑りやすくて危ねーけど、気づいたら180キロもスピードを出していた。
もし、小石にタイヤが触れたら転倒して即死だな……
とにかく飛ばして、ラミカのオンボロアパートに着くと、壁中に中傷する貼り紙が目についた。
【金返せ!】
【死ね!】
【人間のクズ】
……こんなやり方は好きじゃねぇ。バイクから降りて、玄関の前まで行って気づいた。
ビニール傘が開いたまま、ラミカの鞄と一緒に地面に転がっていることに……
拉致られた?
誰に?
あの日、見た同業者か?
身体中の血が煮えたぎるように熱くなるのを感じた。
「っ! くそ!」
早く助けないとラミカが危ねぇ!!