1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】




何を勘違いしていたんだろう?聡ちゃんには他に理由があって、伊織さんとの関係を切るためにあたしを好きだとあの場しのぎで言っただけかもしれないのに。


モヤモヤとした黒い気持ち。苦しくて、苦しくて……


涙が出てきた。



「……ラミカ、あんたは自分んちが今大変なことになってるのに泣かずに明るく前向きでいたじゃん。だけど、聡ちゃんのことでは簡単に泣けちゃうんだね」


「っ! ……だって」


「いいんだよ。それが『人間』なんだから。人を好きになると『嫉妬』もするし、『束縛』もしたくなるの」



人を好きに……なること?


嫉妬?……束縛?



「貧乏を恥じないで、明るく素直に育ったあんたは大好きだよ。だけど、それが原因で人間として欠けてしまったものがあったのよ」


「何……?」


「欲。好きなもの、欲しいものがあっても心の奥底に隠していたんだと思う。もう分かったでしょ? 自分の気持ち」