「嘘……」
遮光カーテンの隙間から太陽の日射しが差し込んで、雀の鳴き声が聞こえてくる。
ずっと寝ないで待っていたのに……時計は6時をまわっていた。
聡ちゃんは
帰ってこなかった――……
これを意味することはバカなあたしでも分かった。
「その香水女に最後に抱いてって泣きつかれてやった……みたいな?」
いつもの学校。いつもの教室。だけどあたしだけが異世界の空間にいるような変な気分だった。
「黙らないでよ。あくまで予想じゃん」
テルミは頬杖をついて、はぁとため息をついた。
「……あたしさ、今まで携帯が欲しいって思ったことなかったけど、昨夜は聡ちゃんと連絡がとりたくて、どうしょうもなかったの」
「……どうして?」
「だって、テルミの言う通り。伊織さんと一緒にいるんじゃないかって思ったら胸が苦しくて張り裂けそうだった」


